人気パティスリーの繁忙期を救え。新たな体制構築への挑戦。

急成長を遂げる人気パティスリーC社。迫るバレンタイン商戦に備え、新卒入社2年目の横川(仮名)は受発注業務の改善に乗り出す。しかし、店舗の視察に赴くとそこには課題が山積であった。C社の未来を見据え、横川が提案したこととは。

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STORY 01

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CHAPTER01

人気パティスリーからのSOS 

新卒入社2年目の横川が担当することになったのは、行列の絶えない洋菓子店を複数展開する人気パティスリーのC社だった。

宝石とも称されるほど見目麗しい生洋菓子の数々が評判を呼び、複数のメディアに取り上げられたこともあって、急速に人気が高まっていた。
そんなC社から要望があったのは12月中旬のことだった。

「バレンタインの需要に備え、至急、受発注作業を自動化したい。今のままではオーダーの増加に耐えられない。」

CHAPTER02

顕在化した課題を解決するのはもちろん、未来の課題に先回りし提案する。

現場を視察するため、早速店舗に足を運んだ。店内を抜けバックヤードに目を向けると、せわしなく動き回るスタッフの姿があった。オーダーは1時間に100から200件にも及ぶ。それを手元の大量の注文伝票を見ながら、手作業で処理していくスタッフたち。

「現場の稼働は明らかに限界を超えている。」
また、スタッフの業務を注意深く見ていると、受発注以外にも配送や仕入れといったあらゆる業務で非効率的な作業が発生していた。

「短期的に考えれば、受発注作業の自動化さえ実装すればバレンタイン商戦は乗り越えられるだろう。しかし、C社の事業は今後さらに成長し続ける。長期的な目線で考えると、目先の対策だけではなく、今の体制を抜本的に変え、事業拡大に耐えうる体制を築くべきではないだろうか。」

CHAPTER03

改善すべき項目は10以上。自ら社長へ提案し、プロジェクトを主導した。

横川は、C社の社内体制における課題を全て洗い出した。受発注の管理、配送対応の流れ、商品在庫数の管理……改善できる項目は10以上に及んだ。横川は、その詳細を分析し、すべてに共通する効率の悪さの原因を突き止めた。

「商品管理手法を変えるべきだ。」
商品数や顧客数がまだ少なかった立ち上げ当時からの管理手法を、C社は10年近くそのまま引き継いでいた。業容が拡大した今、非効率を生むのは当然だ。社内には管理手法のノウハウがなく、スタッフはもちろん社長でさえ、その問題点に気づいていなかった。

「社長、今のやり方では、いずれまた社内体制が追いつかなくなるでしょう。
現在、様々な業務において非効率を生んでいる原因は、商品の管理手法にあります。」

社長は少し考えた後、答えた。
「ぜひ、解決に向けて取り組んでもらえないだろうか。」

横川はすぐさまC社に最も適した商品管理手法を練り、今後の業容拡大も見据えた管理手法を構築した。最初にC社を訪問した日からちょうど2ヶ月。ついにバレンタインシーズンをむかえる。

CHAPTER04

「新卒2年目でも、顧客の未来を変えることができる。」

バレンタイン当日、奮闘の甲斐あって、すべてのオーダーを迅速かつ正確に処理できるようになっていた。加えて、横川が考案した管理手法によって、受発注の管理、配送対応の流れ、商品在庫数の管理などあらゆる業務が効率化され、急激な売上増にも対応できるだけの体制が築かれていた。それは、プロジェクト開始当初、C社の誰もが想像していなかった光景であった。

それから2年が経過した現在も、C社への支援は続いている。かつて、紙とデータでバラバラに集計されていたECサイトと店舗の販売データが、今ではシステム上に一元化されている。これにより、いつ、どこで、どの商品が多く売れているのかをすぐに比較することができるようになった。加えて「◯◯エリアでは他のエリアと比較してオンラインでの売れ行きが良い」「雨の日には特定のクッキーが通常の3倍も売れる」など具体的な販売傾向も把握できるようになり、これらのデータは今では新しいメニューの開発や出店計画に活かされている。

「新卒2年目でも、顧客の未来を変えることができる。」
その信念のもと、横川は今日もまた新たな課題に挑んでいる。